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経営コラム

第38回 原価高騰時における値上について注意すべきことは何か?

2022.05.31 | 販売計画

こんな言葉を聞いたことはないでしょうか?

「値決めは経営なり」

わが社の商品・サービスの値段設定は経営者がするものなので、一営業マンに任せてはいけないことです。

 

原価高騰時において値上をするのであれば、「会社として」どのようにお客様へ対応するのかを準備することになります。

各社員がそれぞれの方法で対応するのではなく、全社で統一されたフォーマットで作成するなどが考えられます。

お客様ごとの対応策も会社として検討することになるでしょう。

 

材料の値上がりは自社の収益に直接影響を与えます。材料の値段が上がったのに商品の値上交渉を避けていると、材料の値上がり分の金額だけ利益が減少します。

値上交渉は必ずしなくてはならないことです。

 

値上のタイミング

原材料費がアップすると、会社の収益を圧迫することは確実なので、値上のお願いは早ければ早いほどよいと言えます。

方針が決まり、準備ができ次第できるだけ早くお客様に伝えることが肝要です。

 

ただし、直接言いにくいということで一方的に手紙やメールで通知したり、WEB上で表示したりするだけだとお客様は不快に感じるはずです。直接お伝えしましょう。

また、事前に伝えることも大事です。

例えば、いつもの床屋で「今月から値上しました」と散髪中に言われてしまったらいい気はしないですよね。

「●月から値上させてもらおうと思っています」と伝えることが誠意ではないでしょうか。

ひょっとしたら値上前にもう一度散髪してもらおうという気になるかもしれないです。

できるだけ早く、直接、事前に伝えること。

 

値上の理由の説明

小細工は不要、逆効果と考えます。

近々の情勢を踏まえ自社の背景等の理由を伝えて、正直に頭を下げること。

誠意と正確性をもって告知して、価格の正当性をお客様に理解してもらいましょう。

 

価格の正当性を伝える

わが社の提供する商品・サービスの価値を伝えることが重要だと思います。

値上になっても、他社商品に比べて割安である、市場価値が高い、など。

わが社の商品・サービスに価値があることを伝えること。

 

価値を高める

値上はするが、メニューや選択肢が増える、商品設計の見直しによって使いやすくなった、サポート体制が強化された、などお客様が感じる価値が高まるような対策が実施できるようであればぜひともアピールしてみましょう。

値上したとしても、価値が価格を上回っているのであれば今まで通り購入していただけるはずです。

 

その他、BtoBの事業であれば、自社の正当性を伝えっぱなしにするのではなく、お客様の言い分も聞いて話し合いの場を作ることも検討します。その場では、相手の反応や懸念点もしっかりヒアリングできるのではないでしょうか。

 

 

「価格はお客様が決める」

価格はコストを基準にして決まるものではありません。コストがいくらかかってもお客様には関係なく、その商品・サービスがどれだけの価値があるかで決まってしまいます。

それなのにコストは上がってしまいます。コストを回収するだけの値決めをするには、どうするか?

お客様の感じる価値が高まるようにしなくてはならず、お客様が感じる価値を高めるために、私たちはお客様に対して常に価値を伝え続けなければならないのではないでしょうか。

 

 

資金について

損益にシミュレーションは必須ですよとお伝えしましたが、気を付けるのは損益だけではありません。

仕入値がアップするということなので、仕入資金を確保しておく必要があります。

また、仕入値が上がるということは、在庫の数量が変わらないとしても在庫金額が増加するので在庫資金の確保も必要です。

どれくらいのお金が追加で必要になってくるのか、そしてわが社はあといくらの資金調達ができるのか「融資枠」を確認しておきましょう。

使い勝手のいい当座貸越の設定ができないか、融資枠を増やすことができないかの確認をします。

 

 

以上ですが、値上をするのは大変勇気のいることですし、実際に値上をして成功するかどうかは分かりません。

大企業、有名企業でも値上をして成功するケースと残念ながら失敗してしまったケースがみられると思います。

値上したけど成功したもの、値上して失敗したものはそれぞれ自分が買い手としてどのように心が動いたか、それはなぜか?に思いをはせながら研究をされてはいかがでしょうか。

 

某飲食チェーン店とか、某テーマパークとか、某食材とか、近所のよく行くお店とか、某商品とか。値上がりしたときに消費者としてどう思ったか?どう対応したか?ということです。