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経営コラム

第62回 【社内メモ】値上げをすると粗利益率はどのように変化するのか?

2023.03.30 | 未来会計図

今回は算数の問題です。

経営には直接関係ありませんが、シミュレーションに必須の知識だと思うので勉強のために紹介します。

 

 

損益のシミュレーションをするときに「粗利益」を使って

・売上高から粗利益額を計算する

・粗利益額から売上高を逆算する

といったことをやっていきます。

 

売上高は、

価格×数量

と分解することができますが、数量はいくら増えても減っても粗利益率に変化はありません。

(粗利益率の高い商品と低い商品を取り扱っており、売上に占める割合が変化をすれば会社全体の粗利益率は変化します。)

粗利益率は、価格を変化させたとき変動費の単価が増減したときに変化します。

 

今回は、以下の3つの計算ができるようになってください。

・変動費が変化したら粗利益率はどう変わるのか?

・値上げをすると粗利益率はどう変わるのか?

・目標とする粗利益率にするにはいくら値上げをすればいいのか?

 

 

1.変動費の変化による粗利益率の変化

まずは、変動費が値上がりした場合には粗利益率はどうなるか?を計算します。

難しい算式を覚えるよりも図を使って考えたほうが簡単だと思いますが、図を作るテクニックはないので文章でお伝えします。

自身で図を描きながら確認してみてください。

 

売上高変動費粗利益

粗利益率=粗利益額÷売上高

 

変動費が変化する場合に、変化するのは粗利益額です。

売上高は変化しないので、増えた変動費の分だけ粗利益が減少します。

 

仮に変動費が10%高騰した場合、変動費率は10%分高くなります。

10ポイント高くなる(30%が40%になるなど)わけではないことに注意しましょう。

 

変動費率 30%は33%に 粗利益率 70%が67%に(粗利益額は約4.3%ダウン)

変動費率 50%は55%に 粗利益率 50%が45%に(粗利益額が10%ダウン)

変動費率 70%は77%に 粗利益率 30%は23%に(粗利益額が約23.3%ダウン)

 

当然ですが、変動費率が高ければ高いほど粗利益の金額に対する影響は大きくなります。

 

材料費が〇〇%高くなった!というときは、どれくらい影響があるかを率と額でシミュレーションしてみましょう。

粗利益率から直接アプローチするのではなく、変動費率から計算すると楽にできますよ。

 

【計算方法】変動費が値上がりした。粗利益率はどう変わる?

① 未来会計図を使って、変動費がどう変わるかを計算する。

② 変動費率を計算して、その補数をとる。(1-変動費率)

その率が、変動費が変わったことによる新たな粗利益率となります。

 

 

2.価格を改正したとき粗利益率はどう変化するか?

価格をアップした際には変動費は変わりませんので、粗利益額は価格をアップした分だけ増加します。

価格を10%増加させたとき、粗利益額の増加は10%・・・にはなりません。

 

仮に、

売上高100・変動費70・粗利益額30

のとき、価格を10%アップしたとします。

 

変動費の金額は変わらないので

粗利益額は

売上高110-変動費70=粗利益額40

となり、粗利益率は

粗利益額40÷売上高110≒粗利益率36.36%

となります。

 

【計算方法】価格をアップした。粗利益率はどう変わるか?

①新たな価格による新たな粗利益額を計算する。このとき変動費は変わらない。

②粗利益率を、新たな粗利益額と新たな売上高で計算する。

 

 

3.粗利益率を〇%にしたいときは、値段をどう変化させればいいか?

これも粗利益を基準にするのではなく、変動費を基準にして計算します

例えば、現在の粗利益率は30%だけど、それを35%にするにはどれだけ値上げすればいいか?

というときは、値上げによって変動費70%が65%に下がったときの価格に設定すればいいわけです。

 

どういうことかというと

価格100に対して変動費が70かかっているのですが

値上げをすると

新価格Aに対して、変動費は70と変わりません。

これがAに対して65%となれば新価格による粗利益率は35%となります。

 

現在の変動費を目標とする変動比率で割るだけです。

変動費70÷粗利益率65%≒新価格107.69

 

ということで、100円のものを107.69円にアップすれば粗利益率は35%になるはずです。

値上げ率は7.69%となります。

 

【計算方法】粗利益率を〇%にしたい。価格はどう変える?

① 現在の変動費がいくらかを確認する。

② 目標とする粗利益率を決定し、その補数をとる(変動費率)

③ ①の変動費を②の変動費率で割る。

それが目標とする粗利益率になるための新しい価格となります。

④ 現在の売上高から何%増加しているかを計算する。

 

 

念のため検算をします。

新価格107.69円-変動費70円=新粗利益額37.69円

新粗利益額37.69円÷新価格107.69円≒34.9986%

ということで、だいたい35%となります。

 

仮に値上げ対象とする商品が500円だとすると

500円×107.69%≒538.45円

となります。

具体的な数字を使って、これで行こうという金額を決定してもらってください。

 

この場合、

538円や540円でも売れるのか?とか

仮に530円だと粗利益率は何%になるのか?その粗利益率だと必要売上高はどうなるか?など

いろいろと考えることがあると思います。

 

値上げ率をお伝えするだけだと、イメージが湧きにくいからです。

実際の商品単価に置き換えることが大切です。

 

計算自体は算数レベルではありますが、何度か実際に計算をしてスムーズに使るようにしておきましょう。