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経営コラム

第54回 取引先の少ない中小企業は、販路開拓のための未来費用をどのようにに使っていけばいいか?

2023.01.04 | 経営計画

未来費用をかけて高値で販売していく

前回、中小企業は販路が少なく、一社依存(あるいはそれに近い)であることが多く

「商品に自信があっても、同業他社と大差のない金額でしか取引できていない」

ことをお伝えしました。

 

原価が高くなっていっているのに、なかなか単価の交渉ができていないという状況でもあります。

そんな状況では、利益を出していくことや社員さんの給与を高めていくことはできません。

 

そこで、未来費用をかけて高値で販売していきませんかということを提案させていただき

その未来費用は、どれだけ使うことができるのか?

高値で販売すればどれくらい儲かるようになるのか?

について説明をしました。

 

今回は、どんなふうに未払費用を使っていくのかについて説明をします。

何かのヒントになれば幸いです。

 

 

未来費用の使い方

価格アップが実現できればどれくらい儲かって、

そのための未来費用はどれだけ使うことができるのか、

が分かったからといって、いきなり全力で未来費用を使っていくことはおすすめできません。

 

未来費用の内容やお金の使い方は会社の成長段階で変わってくるからです。

そこで、未来費用の使い方を会社の成長段階に合わせて3つのフェーズに分けて説明をしてみたいと思います。

 

フェーズ1 中小企業は「小さく」始めること

はじめに述べたとおり、全力でお金を使っていくことはおすすめできません。

そもそも何に対してお金を使っていけばいいのかが分かっていないはずです。

 

会社に販路開拓についてのノウハウが全くない状態なのであれば

まずは、そのノウハウを得ることから始めてみませんか?

 

いきなり高名で高額なコンサルタントと契約してしまう前に、

営業代行等へ依頼することを検討するということです。

 

営業代行会社であれば、少額の未来費用からスタートすることができます。

失敗してもすぐに中止すれば金銭的な損失は少なくてすみます。

 

販路開拓を丸投げするのではなく、自分たちだけでやるにはどうすればいいか?

アポイントの取り方リストの獲得方法などノウハウがあるはずです。

それらをしっかり学びながら営業代行をしてもらうという使い方はどうでしょうか。

パソコンやスマホで検索すればたくさん会社が出てくるはずです。

 

 

フェーズ2 営業活動の主役は「社長」です

フェーズ1でお金を小さく使いながらノウハウが蓄積できたのであれば

今度は社長の出番です。

なぜなら、中小企業にとって営業活動の主役はやっぱり社長だからです。

 

フェーズ2では、社長が直接営業活動をすることです。

営業代行会社や社員さんではできないことがあります。

お客様の声を形にしていくことは経営責任のある社長にしかできないことです。

また、社長がお客様に近づけば近づくほど商品・サービスの良さを伝えることができます。

つまり、価格決定権を持てるということです。

 

社長が直接営業することが決まったら営業活動をする上での予算を組みましょう。

交通費や宿泊費などの旅費だけでなく

会社や商品のパンフレット、商品サンプルなどの営業ツール

なども必要になると思います。

 

色々なアイデアも浮かんでくるでしょう。

そのアイデアを新たな営業ツールに落とし込むことになります。

しかし、これが正解というのは最初から分からないでしょうから

何度も失敗することも必要になります。

 

その際には、外注先としてクラウドソーシングも検討してみてください。

高レベルな外注先が低予算で見つかるかもしれません。

低予算でないと、何度も失敗できませんよね。

 

何度も自分で考えて、失敗することによって

フェーズ1よりもさらに進んだノウハウが得られることと思います。

とにかくひとつ成功事例を作ることです。

 

 

フェーズ3 本格的な未来費用の投資を

何もないところから自社の営業ノウハウを蓄積し、実績を重ねることができたのであれば

いよいよフェーズ3です。

これまでよりも本格的に多額の未来費用を検討してもいいでしょう。

 

フェーズ2までに開拓した新規のお客様に適正な価格で取引ができていれば

稼いだ粗利益も多くなっていて、その分さらに未来費用にお金を投じることができるはずです。

ここから先は、未来費用のかけ方によって色々な展開ができると思います。

 

使い方としては、コンサルタントと契約したり、営業マンの採用・教育をしたり、

販売促進費用のさらなる増額などです。

 

最初からこういったことにお金を使えるか?ということですが

それらを活かせるレベルに会社が達しているかどうかが重要です。

 

・自社製品やサービスのブランド化

・受注のリピートの仕組み作り

・商材の提供だけでなく、それを使った新たな提案業への発展

など、ある程度のレベルに達していないと出来ないことにも取り組めるようになるからです。

 

3つのフェーズに分けて何をするべきかという例を挙げてみました。

もちろん、この通りにするのが正解というわけではありません。

 

ただ、一度に大きなお金を投じることができるようになるには

しっかり会社としての力を蓄えておくことが大事なのではないかと思います。

 

 

今回のまとめ

・未来費用をいきなり全力で使わないこと

・3つのフェーズに分けて未来費用を使う

・最初は少額の未来費用から試す

・自社のノウハウを身につける

・稼いだ粗利益を未来費用に投じることでより大きな成果を得る