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第96回 私たち中小企業は、決算賞与はどういった基準で支給すべきなのか?を検討してみましょう

夏のボーナスの時期が近づいてきています。

賞与については頭を悩ませている中小企業経営者も多いのではないでしょうか。

 

今回は、賞与、特に決算賞与をどのように考え、どのように支給するのか

そして、どのように伝えればいいのかについて説明をしてみたいと思います。

 

 

決算賞与をいくら出すのか?

仮に、決算日が近づいてきており、決算予測をするとまずまずの利益が出ていたとします。

そして、経常利益が目標の金額を超えるのであれば、超えた分の利益は社員に支給したい、

と考えたとします。

 

いくらまで出していいと思いますか?

考えてみてください。

 

私たちは以下のように考えていますので、参考にしてみてください。

 

決算賞与支給額の考え方

目標を上回った分を会社と社員で折半する

「3分の1を賞与、3分の1を内部留保、3分の1を税金」という考え方があります。

会社が利益を留保する際には法人税がかかるので、すべてを内部留保はできません。

 

利益とは、社員と家族を守るためのコスト会社存続のための事業存続費です。

だから、この二つを実現するために均等に分配しましょうという考え方です。

 

来期以降もこのように目標を設定し、上回った分を分配することを社員と約束すれば

社員のモチベーションも上げられるはずです。

 

 

*折半するのに、なぜ、3分の1なのか?

 昔は法人税の税率が高く、利益の半分を税金として支払うようになっていました。

 利益のうち、決算賞与を3分の1払えば、最終的な利益は3分の2になります。

 さらにその半分(全体の3分の1)が税金であれば、残りが内部留保となりますよね。

 

 例)利益が900万円の場合

   決算賞与を300万円払うと、最終的な利益は600万円となります。

   法人税率が50%だとすると、法人税は600万円×50%=300万円

   よって、内部留保できるのは600万円-300万円で300万円となります。

   こうすれば、利益を会社と社員で折半できたことになります。

 

現在は、法人税率はそこまで高くなく、30~35%(3分の1)ぐらいと考えたほうがいいかもしれません。

 

であれば、全体の4割程度を賞与として払い、最終的な利益の3分の1を税金と考えましょう。

 

 例)利益が1000万円の場合

  決算賞与を400万円払うと、最終的な利益は600万円となります。

  法人税率を30%~35%ということで、利益の3分の1と考えると

  法人税額は600万円×3分の1=200万円となる。

  税引後の利益が600万円-200万円で400万円となります。

  利益を会社と社員とで折半できたことになります。

  

 

もちろん、単純に利益の半分を決算賞与として支給するという考え方もあります。

この場合は、最終的な利益が1000万円-500万円=500万円となり

法人税はだいたい170万円と計算され、税引後利益330万円が内部留保されます。

 

+α 人を大切にする経営視点

内部留保は、「未来の社員の人件費」という考え方もできます。

将来、どんなことがあっても給与を支給することができるように、

内部留保は「これで十分」と思わずに積み上げていきましょう。

 

目標を達成したのであれば内部留保は十分だから目標利益を超えた利益は全額分配する

という考え方もあると思いますが、内部留保は大切なのでお勧めはしません。

 

利益計画を立てましょう

ところで、目標となる利益は決めていますか?

そして、それを周知しているでしょうか。

 

決算賞与を支給する場合に必要不可欠なのは、目標となる利益です。

会社存続のためには利益が必要ですが、その利益を把握していますか?

 

ぜひ、利益計画を立てておくことをお勧めします。

 

まとめ

・事業年度開始までに利益計画を策定する。

・決算の2カ月前には決算前検討会を実施して、着地の数字を予測する。

・利益の予測金額が、計画を超えているようであれば、基準に従って決算賞与を支給する。

目標を超えた金額の40%を賞与として支給するようにしてはいかがでしょうか?

・試算表は公開し、基準はあらかじめ示しておくこと。

 

 

決算賞与を支給する上での考え方

社員の給料・・・お客様からいただくもの

社長の給料・・・社員からいただくもの

社員の賞与・・・社長のおかげでいただくもの

 

と私たちは考えています。

 

社員の給料は、お客様が商品やサービスの対価として払ってくださった代金から支払われる

というのは理解しやすいと思います。

しかし、社員の賞与社長のおかげでいただくもの、というのは直感的にはよく分からないかもしれません。

 

どういうことかを説明します。

大企業はともかく、中小零細企業には賞与の支給規定を定めていないことがほとんどです。

法律上、企業は社員に賞与を支給しなくてはならないと決まっているわけでもありません。

 

実態としては、利益が出ているから支給しますし、利益が出ていなかったら金額が小さくなったり

支給しないということもあるのではないでしょうか。

 

実際に、小規模企業でボーナスを払っていない会社は4割とも5割ともいわれています。

 

そんな中、賞与の支給があったということは利益が出ている

あるいは過去に内部留保していた利益がある、ということになると思います。

 

では、利益が出る出ないはいったい誰に原因があると考えるか?

 

社員さんはどんなときでも一生懸命に働いてくれています。

それなのに黒字になったり赤字になったりするのはどういうことでしょうか?

 

社長の立案した戦略が正しいから利益が出て間違っているから利益が出ない

ということだと考えてはいかがでしょうか。

 

だから私たちは、賞与は「社長のおかげでいただくもの」と表現しているわけです。

 

毎月の給料日は社長が社員さんに感謝をし、

賞与の支給があった場合には、社員さんは社長に感謝をするという関係が正しいと考えているのです。

 

ぜひ参考にしてみてください。