第59回 事業にとって新規客よりも大切なものとは?スタッフも巻き込んで検討しましょう
私たちがお客様に対して毎月提供させていただいている月次決算書には未来会計図表というものが含まれています。
その未来会計図表には
・現在の客数=(既存客数-脱落数-スリープ)×リピート率+新規客数
・最も重要な要素は新規客ではなく「リピート率」
と記載されている部分があります。
今回は、なぜ新規のお客様ではなく「リピート率」が最も重要な要素だと言っているのか?を説明したいと思います。
なぜリピートが大事なのか?
リピートとは同じお客様に何度も来ていただくということですが、
ここでは、リピート率を「同じお客様に何度来ていただくか」という意味合いで使っています。
来店型のビジネスの場合、いかに新規のお客様を獲得するか?ということに力を入れるものだと思います。
しかし、私たちは新規も大事ですが、同じお客様に何度も来ていただくことはもっと大事だとお伝えしています。
理由として、今回は2つを挙げさせていただきます。
ひとつめの理由が、新規客数は足し算で、リピート率は掛け算だから、
ふたつ目の理由は、新規客獲得のコストが高いから、ということです。
理由その1 新規客数は足し算で、リピート率は掛け算
売上高の構成要素である現在のお客様の数の考え方として
現在の客数=(既存客数-脱落数-スリープ)×リピート率+新規客数
であるとお伝えしました。
見て分かる通り、リピート率の前には×(かける)が、新規客数の前には+(たす)が記載されています。
お店の努力の方向性として、新規客を増やすことを考えるのか
あるいは、リピート率を上げていくことを考えるのか?ということですが
リピート率を上げていく方策を考えて実行するということは、その努力は既存のお客様全体に効果が及びます。
それが「リピート率は掛け算」という意味です。
一方、新規のお客様を増やす努力はそのお客様にしか及んでいません。
それが「新規客数は足し算」ということです。
せっかくきていただいた新規のお客様も、リピートしたいなと思ってもらえないと、また新たなお客様を探すこととなります。
リピートしたいと思えるようなお店には友達や家族を連れて行ったり、紹介があるかもしれませんが
新規獲得ばかり頑張っているお店に対してリピートしたいと思ってもらえるとは限らないのではないでしょうか。
理由その2 新規客獲得のコストが高いから
これも言葉のままの意味です。
新たなお客様をお見せに呼ぼうと思ったら、広告宣伝活動など多額の資金が必要になります。
新しいお客様ひとりに来ていただくためのコストをイメージしてみてください。
一方、既存のお客様にもう一度来ていただくことはそれよりよっぽど難易度が低く、コストもかからないのではないでしょうか。
私たちは思っています。
新規客獲得にかかったお金は、ご自身を支えてくださっている既存のお客様のために使ってもいいのではないでしょうか?と。
未来費用とは、広告宣伝費だけではないと思います。
既存のお客様がもっとリピートしたいと思えるようなことのための支出も立派な未来費用です。
ファンになってもらう
リピート率を上げる、つまりわが社のファンになってもらうためには何ができるでしょうか。
そのためにすることが、「顧客教育」と「えこひいき」です。
どっちの言葉も少し強い言葉ですよね。
顧客教育とは
社員教育という言葉は聞いたことがあるけど、顧客教育という言葉はあまり聞かないかもしれません。
顧客教育とは、ちょっと上から目線の言葉に感じるかもしれませんが、要するに
自分たちの扱っている商品やサービスのどこが優れているのか、自分たちの思いなどを手を変え品を変え伝えることです。
以前も、お客様の感じる価値を高めましょう、ということで同じようなことを説明しています。
価格アップだけでなく、リピートアップにもお客様に積極的に伝えることが効果的です。
えこひいきとは
お客様をえこひいきするのか!と怒られてしまいそうですが、すべてのお客様に最高の対応をするのは当たり前のことだと私も分かっています。
ただ、ご自身の会社の熱心なファンは、多くの売上をもたらしてくれる大切な存在です。
そんな大切な存在である熱心なファンには、その最高を超えるサービスを特別に提供されてはいかがでしょうかということです。
その最高を超えるサービスによって日頃の感謝をお伝えして、もっとわが社のことを好きになってもらうことが大事なのではないかと思います。
どんなことができるのか?スタッフを巻き込んで、遊び心も持ち込みながら考えてみてください。
何かできるか?
・ゴールド会員、プラチナ会員制度を作る
・裏メニューの提供
・オフ会参加権を付与する
・時間外にも対応する
・どんなに混んでいても絶対に待たせない
・特別な備品(カットクロスやグラスなど)を使ってもらう
・好きな音楽をかける
・新商品の提供開始前に特別モニターになってもらう
・プレゼントを贈呈する