第47回 なぜ増賃金が必要なのか?1人当たりの賃金を増やす意義とは何か?②
前回は、生活する上で必要となる費用がどんどん増えていくと思われるので、社員さんの給与をどんどん増やしていってはどうかというお話でした。
会社で働いてくれている社員さんはとても大事な存在なので大切に扱いましょうということです。
今回は増賃金について、会社運営上から見た必要性を述べていきたいと思います。
■中小企業は労働集約的
私たち中小企業の事業構造は、労働集約的であることがとても多いです。
大企業のように、大きくて高価な機械設備を導入してほとんど無人の工場で大量の製品を作る製造業、
駅前の土地に大きな建物を建てて経営するホテル業、鉄道業、通信業といった莫大なお金を必要とする商売をされている中小企業は少ないと思います。
(そういう産業を資本集約的産業といいます。)
私たち中小企業はサービス業が多く、人が動くことによって付加価値を生み出している産業となっています。
自社の損益計算書を見てみてください。きっと人件費が経費の大部分を占めているはずです。
そんな労働集約的である中小企業が、増収増益を目指していくのであれば人を増やして行くことが重要な経営課題となります。当たり前ですが。
■「人さえいれば・・・」と社長は言うけれど
そんな事業構造ですから、社員さんが退職してしまって大忙しになったり、規模を拡大したいのに求職者が来てくれなかったりしたときに中小企業の社長様は言うのです。
「人さえいれば・・・」「いい人が来てくれない・・・」と。
でも、それは当たり前のことなんです。
誰だって、大きくて有名な企業で高給与で働きたいと思っています。
安定していて、サービス残業なし、週休二日の会社で働きたいと思っています。
優秀であればあるほどそういうものかもしれません。
採用のためには社員さんにとっても魅力的な会社にしていかなければならないんです。
ご自身の会社は魅力的な会社になっていますか?そのための努力をしていますか?
■お金は一番ではないかもしれないが、二番以下でもない
では、そのために何をしていくのか?ということで、前回からも申し上げている「社員さんの給与を増やしていく」ということにつながっていくわけです。
もちろんお金がすべてではありません。
ただ、だからといって安い給与で朝から晩まで働いてもらうのも間違っていると思います。
お金ことは決して無視してはいけないんです。
しかも、お金がすべてではないということですので、その他にもたくさんできることがあるはずです。
■魅力的な会社づくりを
まずは、高賃金水準を目指す。
今は低くても、今後高給与を目指すことを数字で計画して社員さんと共有することが大事なのは前回お伝えしました。
その他に、社員さんはこの会社で働くことで、自分の将来設計を描くことができるか?ということも考えていますか?
社員さんはスキルアップ・ステップアップができるか?といった明るい未来にこそ興味があるんです。
社長は、一生を通じて社員の生活を安定させ向上させ続けるという姿勢が大切です。
■ポイントは4つ
1.給与・・・給与の水準を上げていけるのか?
前回から一貫してお伝えしていることです。
今は無理でも高給与を目指していることを社員さんと共有しましょう。
ギャップがあるのであれば少しでもその差を縮める計画を立てましょう。
利益は内部留保でなく、決算賞与として皆さんへ還元することを必要とする時期があるはずです。
2.やりがい・働きがい・・・ないなら作れ!
手続業務や単純作業では「やりがい」を感じることは難しいです。
ヒントとしては、お客様から感謝されたり、喜んでもらえたり、ありがとうと言ってもらえる仕事であればやりがいを感じてもらえるはずだと思います。
社長は仕事のやりがいを感じてもらえるような事業の柱を考え、育てていくべきです。
3.採用・教育・・・若い人を入れて育てる
平均年齢を下げることをイメージして採用をしていくことです。
新しい人が入ってこないと新人さんは10年たっても新人のままです。
また、新しく入社した人に対して社員教育をしていくわけですが、専門知識だけでなく人間力を高める教育(あいさつや報連相など)も重要だと思います。
4.組織の未来像・・・社員さんをワクワクさせる
将来の事業の柱が決まれば、それに対応する組織も考えていかなくてはなりません。
将来必要な役職や部署が明らかになることでしょう。
それも社員さんと共有することができれば、将来のキャリアプランを提示することになります。
ステップアップの道のりを示すことになり、「チャレンジしてください!」というメッセージになります。
目標を持つことで頑張れるのは誰だって同じだと思います。
以上、いくつかの方針を示してみましたが、私たち中小企業が増収増益を目指していくのであれば絶対に必要なことだと思いますのでぜひ参考にしてみてください。