第46回 なぜ増賃金が必要なのか?1人当たりの賃金を増やす意義とは何か?①
私たち税理士法人エイコーは、お客様である中小企業の社長様に「社員さんに対する給与を上げていきませんか?」と提案しています。
給与は、損益計算書でいうと費用項目であり、それを増やすということはその分利益が減ることになります。
それに加えて、会社負担分の社会保険料も増えてしまうので、ますます利益が減ってしまいます。
なのになぜそんなことを推奨しているのか?今回はそれについてお話をさせていただきます。
■社員さんの生活の安定のためには賃金アップが必要不可欠だから
新聞やテレビで報道されているように2022年の物価上昇率は約30年ぶりの水準であると言われています。
この約30年の間は大幅な物価上昇がなかったということですが、今後は世界的なインフレと相まって物価高が継続していくかもしれません。
物価の上昇率が賃金の上昇率を上回り続けると、社員やそのご家族の生活に悪い影響を与え続けることになります。
社員さんは会社にとって一番大切な存在なので、会社は社員の賃金を物価上昇率に負けないようにアップすることが必要だと考えています。
だから、「社員さんに対する給与を上げていきませんか?」と提案しているわけです。
■どれくらいアップさせるのか?
これは色々な考え方があるかもしれません。
以前、国税庁が発表している事業所規模別及び年齢階層別の給与額を参考にしてはどうかという提案をさせていただきました。
それも参考にしていただきたいですが、今回は新たな目安として
・目標年収・・・年齢×15万円
・理想年収・・・年齢×20万円
というものを紹介させていただきます。
35歳であれば目標525万円、理想700万円です。
これは賃金の高い都心部の考え方なので、地方でしたら目標は「×12万円」理想は「×16万円」などとしてもいいかもしれません。
(地方ごとの最低賃金で傾斜をかけています)
また、年齢を基準にしていますが65歳の理想は「65×20万円」で1300万円になるのか?という話になりますが、45歳ぐらいがこの考え方のピークになるというのが自然だと思います。
なんにせよ、目標としたい年収と現実の年収との間にある差を認識することが必要だと考えています。
■今すぐアップさせるのか?
では、目標を決めたらすぐにそこまで支給するのか?という問題ですが、出せるものであればすでにその金額を支給しているはずです。
できないから支給していない、ということです。
でもそれはそれで仕方のないことです。
大事なのは今は低くても、今後高給与を目指すことを決定すること。
それから、どのように目指すのかを数字で計画を立てて社員さんたちと共有することです。
まずは社員さんの給与を上げることを決定していきませんか?