第34回 未来BSを作って、未来の財務状況をイメージしましょう
中期事業計画を作成する際のお話です。
中期事業計画を達成したら、会社の財務状態がどのようになっているかを検討してはいかがでしょうか?という提案です。
事業計画を利益計画までしか作成せず、「5年後には○円の利益が出ています」「●円の売上高になっています」で終わっていないでしょうか?
策定した中期事業計画を達成したら、会社の財務はどのようになっているのか?
これを計算しておくことが非常に大事ではないかと考えています。
「達成できるかどうかも分からない利益計画を基に、財務状態までシミュレーションするのは意味があるのか?」
と思われるかもしれません。
ただ、中期事業計画を作成し、それを実行に移す際には「この大変な数字を達成したら会社はどのようになるのか」という明るい未来をイメージできるようにしておいた方が、目標達成に向けてより一層意欲が湧いてくると思いませんか?
今回は、どのように未来の貸借対照表(ざっくり版)を作成していくのかを説明します。
1.自己資本について
向こう5年間で税引後利益が累計でどれくらい出るのか?
これが会社の純資産に加算されます。
現在の純資産(自己資本額)に目標利益の合計額を加算します。
もちろん、利益には法人税が課税されますので、その法人税額は引き算してやる必要があります。
どれくらい会社の純資産があるかを計算することは会社の安全性を計ることにもなりますし、簡単なのでぜひやってみてください。
2.借入金について
向こう5年間で借入金をどれくらい返済していくのか。
これは返済計画を確認すれば簡単にわかると思います。
そして借入金の返済可能額は税引後利益+減価償却費です。
5年間の利益に5年間の減価償却費を加算して計算します。
返済可能額と実際の返済額とを比較しますが、返済額が返済可能額を超えてしまった場合にはその分お金が減りますし、足りないということで追加で融資を受けるのであれば借入金は増加します。
3.総資産
現在の総資産の金額がどのように変化するのかを大まかに計算します。
本当に大まかなのですが、税引後利益の分だけ総資産は増加し、借入金の返済額の分だけ総資産は減少します。
もちろん、損失が出ればその分総資産は減少し、借入金が増えればその分だけ総資産は増加します。
売上高が増えれば運転資金も増加して、総資産も増えると思いますので計算してもいいと思います。
これらによって総資産と純資産の金額が計算できれば、自己資本比率が計算できます。
各事業年度の経常利益のシミュレーションをやっていますので、最終年度の総資産経常利益率も計算できます。
現金預金の残高や借入金の残高も計算できるので、現在の金額と比べてどのようになっているかをチェックします。
それらの数字は現在と比べてどうなっていますか?
意欲的な計画であれば、財務分析による配点表でポイントが大きく改善しているのではないでしょうか。
財務分析の数字がよくなっているということは会社が良くなっているということです。
会社がよくなれば今までずっとやりたかったことができるようになるかもしれません。
ご自身の給与を増やすことはもちろんのこと、社員さんの給与を世間並み以上にすることができるかもしれません。
その他にも
・生産性向上により労働時間の短縮ができる。
・社会に貢献でき、世の中から必要とされる会社を目指せる。
・高齢者雇用、障碍者雇用を積極的にできるようになる。
・新たなチャレンジが資金的にしやすい会社になる。
・仮に赤字であっても社員さんに賞与を払えるたくわえを持てる。
・全社員がやりがいを持て、安心して働ける環境を提供できる。
・社員さんの定着率が良くなり、新規採用希望者が増える。
そんな会社になれるかもしれません。
ただし、上記のような人を大切にする会社を目指すのであれば、収益性の高い仕事、儲かる商売をする必要があります。
儲かる商売を考えるというのは、会社の方向性を決める社長の仕事です。
経営計画書の作成を機に、明るい未来とそれを達成するための方向性をしっかり作りこんでみませんか?