第29回 自社の立ち位置を把握して経営資源の再配分を考えてみましょう
今回は、市場における自社の立ち位置を自覚していますか?という内容のお話をします。
市場にはライバルとお客様しかいません。
自社の立ち位置を確認することは非常に大事なことなんです。
限界生産者とは?
突然ですが、限界生産者という言葉を聞いたことがありますか?
経営コンサルタントの一倉定先生がその書籍で使っているのを見たことがありますが、あまり世間で使われている言葉ではないようです。
限界生産者とは、その書籍によると「市場占有率が低く、その市場が縮小する時に真っ先に、倒産廃業に向かう可能性の高い企業」のことだそうです。
限界生産者は市場競争で敗れてお客様から見限られる可能性が極めて高いのです。
景気が悪くなった時、あるいはその市場そのものが小さくなった時に、そこに属しているプレーヤーの売上高は一律に減少するのではなく、限界生産者の売上から減少していく、からなんです。
逆に市場占拠率の高い企業は収益性が高いと言われています。
ですから、私たち中小企業は限界生産者とならないように戦う市場を慎重に検討する必要があります。
市場占拠率が高い市場、高くすることができる市場を見つけ、占拠率を高める方針を取っていくことです。
市場占拠率の確認方法は?
ところで、自社の市場のおける占拠率を確認したことはありますか?
市場占拠率は、市場規模を数字で把握して、その市場規模のうち自社の売上高がどれくらいを占めているのか?ということで計算します。
そこで、私たちの属する市場の規模を知る必要がありますが、どのような方法があるのでしょうか。
正解はないかと思いますが、例えば
・帝国データバンクなどの信用調査会社に依頼してライバル企業の状況を探る(売上高や人員など)
・ライバル企業のホームページを確認する
・各省庁、各業界団体が発表しているデータを調べる
などが考えられます。
市場規模が直接分かる使用があればいいのですが、そういうデータがない時は、市場におけるプレイヤーの売上高を足して推測することもできます。
売上高ではなく、顧客数や社員数でもある程度ではありますが推測できると思います。
また、お客様を訪問して直接情報収集するのもいい方法だと思います。
選択と集中(経営資源の再配分)
以上のことより、市場を知り、そこに占めるわが社のシェアを高めていくことを大切にしていただきたいと思っています。
しかし、私たち中小企業にはヒト・モノ・カネといった経営資源に乏しいです。質も量もです。
だから、その限られた経営資源は有効に使わなければいけないということなんですが、それを経営資源の再配分といいます。
少ないお金、少ない人員でやたら広い地域で営業すべきではないですし、もし、広すぎる地域に展開しているのであれば、撤退することも考えなくてはならないと思います。
そのときは、占拠率・売上高を踏まえて、どの市場から撤退するかの判断をするといいでしょう。
限られた経営資源をより可能性のある拠点に投下をし、集中的に営業活動をする。
市場を絞ることで、時間的金銭的損失が減り、より効果的な営業活動ができることを知っておきましょう。
都会は人が多く大きな市場で、一見すると魅力的な市場ではあります。
ですが、何度も述べる通り、ライバルも多くシェアを取ることは非常に難しい、ということを再確認していただきたいです。
まとめ
・市場占拠率が低いと儲からない。
・市場占拠率を知る努力をする。
・市場占拠率を高めるためには、戦う市場を絞ってそこに経営資源を集中投下する。