第26回 決算前には節税チェックシートを活用してもれなく対策しましょう
決算前になるとそろそろ税金のことも気になります。
(気にならない人もいますが)
節税のためにやり残したことがないか、もれなくチェックするためにもリストを活用しています。
今回はその一部をご紹介しようと思います。
色々書いていますが、細かい要件がありますので専門家に詳細を確認してから実施するようにしてください。
分かりやすくするために、要件などが省かれています。
1.棚卸資産(在庫)
売れ残りの在庫で、通常の金額で販売できそうにないものがないでしょうか?
そんなときは①廃棄する、②損失覚悟で販売する、③評価損を計上する、などが考えられます。
廃棄する場合は、廃棄したという証明ができるでしょうか。
廃棄した場合、本来あるべき在庫がないわけですから必ず説明ができるようにしておきましょう。
評価損を計上する場合ですが、自社の商品や製品の客観的な時価が必要となります。
それができればいいのですがなかなか難しいと思います。
翌期にその評価額で販売したのであればそれが客観的な証拠と言えるかもしれません。
2.有価証券
株や投資信託で、買った価格よりも下がってしまってどうしようもないものがないでしょうか?
そんなときは①売却する、②評価損を計上する、ことが考えられます。
売却するのは勇気がいるかもしれないですが、節税になり、キャッシュも増加するので要検討です。
(そもそも事業に関係のない資産を事業資金で購入することはお勧めしていません。)
評価損を計上する場合はしっかり要件(50%以上下落かつ回復見込みなし)を確認しましょう。
3.機械装置(特別償却・特別控除)
新品の機械装置を購入された場合、特別償却あるいは特別控除を受けることができる可能性があります。
検討されていますでしょうか?
特別償却と特別控除は選択することになっていて、どちらも受けることはできません。
いずれもメリットデメリットがありますので事前にしっかりと検討しましょう。
特別償却は減価償却費の前倒しですから長い目で見ると経費になる金額は変わりません。
特別控除は減価償却とは別に、特別に法人税を減額させるものですから一般的にはこちらを選択することが多いと思います。
4.決算賞与
利益が出ているのであれば、ぜひとも社員さんに決算賞与を支給されてはいかがでしょうか?
日頃から頑張ってくれている社員さんが喜んでくれますし、モチベーションも上がることと思います。
長が感謝されること間違いなしです。それが社長のやりがいだとおっしゃる方もいます。
決算月に支給するのであれば、賞与分の社会保険料もその期の経費にできます。
ただし、賞与として出て行ったキャッシュ以上の節税にはなりません。所得拡大促進税制を活用しても同様です。
100万円の賞与を支給したとしても、節税効果は25万円~35万円程度です。
また、社員さんは喜びますが、もし翌期に支給できなかったとしたら不満が生じる可能性も否定できません。
とはいえ、幸せを求めて一生懸命に働いてくれている社員さんのためにも毎年支給できるようになるといいですね。
そのためにも中長期的に収益力を高めることが非常に大事です。
5.役員貸付金
節税対策とは言えないですが、これが貸借対照表に記載されていないかを確認しましょう。
金融機関が最も嫌う項目のひとつです。
金融機関からすれば会社の事業のために融資したお金が、社長個人のポケットに入っていると思われてしまいます。
そのため、金融機関に追加融資を断られてしまう可能性、保証協会が保証をしてくれない可能性があります。
会社と社長との間で「金銭消費貸借契約」を結び、契約書を作成し、適正な利息を受け取るようにしましょう。
そして、それをちゃんと返していくことを示すためにも返済計画予定表の作成と実行、原資となる役員報酬の増額あるいは事前確定届出給与の活用を検討します。
事前に確認することはこれらのほかにもいろいろありますが、数が多くて見過ごしてしまう可能性があります。
そこで冒頭にも記載しているようにチェックリストを使って確認していくともれなく検討ができるということです。