第16回 決算前検討会ではこれらのことを確認する年に一度のチャンスです
決算の前には必ず貸借対照表の残高を確認しましょう
日頃は貸借対照表を見るとはいっても財務体質のチェックにとどまり、詳しい内容の確認まではなかなかできません。
ですから、決算前検討会では年に一度のチャンスだと思って、詳しく内容を確認しましょう。
せっかく時間を取って内容を確認するわけですから、科目をひとつひとつじっくり見ていってください。
とはいっても、帳簿の残高が正しく記載されているかどうかを確認するわけではありません。
経理担当者がしっかりやってくれているはずです。
そうではなく、中小企業経営者の視点から貸借対照表の詳細を見ていただきたいと思っています。
出来上がった決算書の内容を確認するのではなく、決算日の前に内容を確認することによって決算日に向けて打つ手もあるかもしれません。だから、後ではなく前です。忘れないようにしてください。
例えば売掛金
経理担当者はしっかり残高を合わせてくれているはずです。
もし、試算表の提供スピードを重視してあやふやになっているのであれば、そろそろきっちりと数字を合わせるようにしてもらってください。
また、回収が遅れているものはないか、回収を忘れているものはないか、回収が難しく債権放棄したほうが税務上、メリットがあるものはないかを丁寧に見ていきます。
決算日の後だと、免除してもその期の経費にはならないですからね。
例えば投資有価証券
上場されている株式を保有されているのであれば、時価はどうなっているのかの確認をしてみましょう。
いくらで売れて、含み損益はいくらなのかを把握します。
上場されていないのであれば換金性が低いかもしれません。
買ったのが先代社長かもしれませんし、興味もないのにお付き合いで買ってしまったのかもしれません。年に一度ぐらいは内容を確認しましょう。
例えば保険積立金
解約返戻金のある保険に加入している場合は、保険を解約したらいくらぐらい返戻金があるのかも把握しておきましょう。
返戻金は簿外の資産ですから、貸借対照表に金額が記載されているわけではありません。
保険は役員退職金など何か目的があって契約されていることとは思いますが、いざというときには解約して事業資金として活用するという選択肢もあります。その時のためにも解約返戻金を確認するのは大切なことです。
宣伝になりますが、当社では保険管理ファイルを無料で作成しています。
どんな保険に加入しているのかが一覧表示され、解約返戻金や返戻率などが一目でわかるようになっています。とても便利なので皆さんに使っていただきたいと思っています。
例えば貸付金
中小企業には貸付金がない方がいいと思いますが、どうしてもやむに已まれぬ理由でお金を貸してあげていることがあるかもしれません。
ちゃんと契約書は交わしているのか、担保はとっているのか、回収可能性はどうなのかをチェックしましょう。
これら以外にも勘定科目をひとつひとつ確認することによって、しっかりとした決算書を作成する基礎となります。
ぜひやってみてください。