第15回 借入金の返済期間を考える(正しい借入金の返済期間とは?)
「借入金は利益の前倒し」という言葉をご存知でしょうか?
借入金は会社が利益を出し、利益に対する法人税を支払ったあとの税引後の利益で返済していきます。
借入金は売上ではなく、利益で返済するという意味です。
個人の場合、毎月の給料から生活費などを支払っていきます。
その生活費の中には住宅ローンの返済額も含まれていると思います。
しかし、会社経営になるとそうなっていません。
中小企業の社長が毎月確認している「損益計算書」には借入金の利息は含まれていますが、返済が含まれていないのです。
サラリーマンの収入から支出を引いた金額がトントンになっていればいいのに対して、会社では損益計算書がトントンではいけないということです。
売上から費用を引いたものがトントンだとすると、さらに借入金の返済がありますので
その分だけお金が減ってしまうのです。
トントンだったら返した金額をまた借りればまだいいです。(それでは借金は減りませんが・・・)
赤字だとその補填に更に借金をすることとなるため借金はどんどん増えてしまいます。
借金は利益の前倒し。ですから、借金をしたら稼いで返さなくてはならないというのはそういうことです。
今回の本題ですが、では借入金の返済期間はどうすればいいかということです。
早く返したいという気持ちはとてもよく分かります。
利息を払うのはもったいない気がするし、そもそも借金をしているという自体が気持ち悪いという方もいます。
ただ、先ほど示したように借入金は利益で返済するものですから、返済額に見合った利益を稼がなくてはなりません。
総額は変えることはできませんが、年間の返済額は変えることはできます。返済期間を長くして借りるのです。
例えば5000万円を借りた場合、5年で返済するのであれば年間1000万円、
7年で返済するのであれば年間約700万円、10年で返済するのであれば年間500万円となります。
返済額が小さくなればそれを稼ぐための必要売上高も小さくなります。
売上の計画は現状の実力と照らし合わせて少し手を伸ばせば届くような数字であるべきです。
到底不可能な数字を提示した場合、社員さんは意欲をなくしてしまうこともあります。
また、達成ができるだろうということで返済期間を短くしてしまうのも注意してください。
その利益は返済期間ずっと維持できるでしょうか?世の中何が起こるか分かりません。
安全性を考慮し返済期間を長くすることが重要だとお伝えしています。
借金を早く返すことよりも、会社のお金を減らさないことを最優先に考えて返済期間を設定しましょう。