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第12回 売上アップの計画を立てている場合は要注意

中小企業において売上アップをするためにということで新しく設備投資をする場合に

 

その投資は問題ないか?をしっかり検討することが大切です。

 

売上がアップするのだから大丈夫、というだけで進めていないでしょうか?

 

今回はなぜ設備投資による売上アップ計画は要注意なのかを説明します。

 

 

まず、その設備投資のための資金はどこから調達するのかを検討すると思います。

 

それが100%自己資金でなく、金融機関からの借入に頼ることになるのであれば

 

当然返済をしていかなくてはなりません。

 

借りることができるのか?だけではなく、返せるのか?を検討しましょう。

 

よく言われるのが「借入金の返済原資は『税引後利益+減価償却費』」です。

 

ですから、既存の借入金と新規の借入金の返済額の合計額が、その範囲内に収まっていれば

 

現金を減らすことなく借入金を返済していけるという理屈です。

 

長期的な目安としては確かにその通りですが、短期的にみると必ずしもそうなるとは限りません。

 

 

 

というのが、その計画には「運転資金が増加する」ことが抜けているからです。

 

売上を増やす計画を立てる場合には、運転資金も増加することを含めて考えないといけないのです。

 

売上高が10%増えた場合には、他の条件が変わらなければ運転資金も10%増加します。

 

運転資金が増えるということは、増えた分だけ会社のお金が減少します。

 

仮に運転資金が50,000千円の会社の売上高が10%増加すると

 

運転資金は50,000千円×10%=5,000千円増加してその分お金が減少するということになります。

 

 

設備投資により売上高が大幅に増加するからといって設備投資をしても

 

逆に資金が大幅に減少することがあることをシミュレーションで事前に把握しましょう。

 

 

 

ただし、売上増加による運転資金増加のために資金が圧迫されるといっても

 

それは売上が増加したタイミングだけなので、それ以後も継続して売上を維持でき、

 

かつ、立て続けに設備投資をしないようにすればそれ以後はお金の増加を見込めます。

 

わが社はどうなのか?しっかりと検討して設備投資を実施しましょう。

 

 

 

対策

売上高増加によって運転資金が増えてしまい、資金が圧迫されるのであれば

 

運転資金を減らす対策も大切です。

 

・既存のお客様に売上代金の回収期間を早めてもらったり、手形で回収するのでは

 

なく現金取引に変更してもらうのはハードルが高いでしょうか?

 

・新規の取引先は適正な期間で回収できるように最初から決めておきましょう。

 

・在庫について、適正な在庫はどれくらいなのかを一度しっかり考えましょう。

 

そして、一度決めたら管理を徹底するようにしましょう。

 

また、借入金の年間返済額を抑えるために複数本の借入金を1本にまとめられないでしょうか。各金融機関に相談してみましょう。

 

 

このシミュレーションは中小企業の社長様が独自でするのは大変だと思います。

 

ですから、そのようなご相談があれば毎月の訪問時に一緒に手を動かして検討させていただきます。