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経営コラム

第17回 赤字は貸借対照表を悪くする

2021.09.14 | 未分類

赤字になったらどう困るのか

損益計算書を見て単純に「赤字だったから悪かったな」ということでなく、貸借対照表を見て判断したいものです。

 

損益計算書で赤字が出てしまったら通常は貸借対照表が悪くなってしまいます。

貸借対照表は企業の財政状態を示しているので、これが悪くなるということは会社の安全性が低くなっているということです。

 

また、金融機関は企業の決算書を見て格付けをして、それを融資判断の材料にします。

だからこの格付けはスムーズに融資を受けようと思ったら高いに越したことはありません。

この格付を良くするために決算書の数字はなるべくいいものがいいということです。

その格付けは損益計算書だけでなく、貸借対照表の数字から計算された指標も大いに参考にされているはずです。

 

ただし、この格付けはこの瞬間だけでなく、未来から見てこの決算はどうなのか?ということも考えてましょう。

例えば、債務超過は格付けは下がるということで、じゃあ減価償却を見送ろうという考え方もあります。

しかし、それはその決算という瞬間しか見ておらず正しい経営とは言えないです。

 

むしろ瞬間的に赤字になるのは構わないと思います。

中小企業の一事業年度が赤字だからといって、それだけを理由に金融機関がいきなり融資をストップするということは考えにくいからです。

とは言っても債務超過になってしまうとさすがに金融機関からの借り入れは難しくなってしまいます。

 

だからそうなる前に、今のうちに借りておこうという考え方もあります。

そのためにはしっかりと月次で数字を見ていく必要があります。

今は潤沢に資金があるかもしれないが、翌期以降どうなるかわからないということだってあります。

 

来期以降は?という視点と決算説明書

もし売上高が右肩上がりになっている状況であれば心配する必要はないと思われるかもしれません。

しかし、売上は上がっているけれど数字が分からないから利益が上がらないというのであれば、どうやったら高収益事業構造にするかということを何度も検討します。

しっかりとシミュレーションするということです。

月次決算書で予定通りに行っていないとお金が回らないので、作成した中期利益計画・販売計画はどうなっているのか毎月チェックしていくのです。

 

また、赤字であれば(できれば赤字でなくても)金融機関に提出する決算書に決算説明書を付けてみてはいかがでしょうか。

例えば、単年で見ると赤字だけど中期で見ると売上がどんどん上がっていって利益が出るのがわかっているのであればそのことを説明することができます。

また、貸借対照表や損益計算書の課題をしっかりと把握して、今後どのように改善していくつもりなのかを説明して、協力をいただきたいことを示すのです。

 

このように経営者は会社の数字に強くなければだめで、会計事務所はそれをサポートできるようでなければならないと思います。