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経営コラム

第58回 付加価値を高めるためのアプローチ 商品の価値を構成する4つの価値とは?

2023.02.06 | 未来会計図

今回は、付加価値を高めるということで、商品単価のアップについて考えていきたいと思います。

 

事業経営を考えるとき、漠然と「売上高を増やそう」と考えてしまうと、

結局「みんなでがんばろう」とスローガン的な結論になってしまいがちです。

 

そうではなく、どこにどう手を打つのか?を具体的に考えていくことが大事ではないでしょうか。

どこに手を打つのか、ということで、まずは売上高という大きな項目を小さく分解していき、

それぞれについて考えるのが具体的に考えていくということにつながると思います。

 

というわけで、まずは売上高を分解してみたいと思います。

 

 

売上高を分解して考える(店舗ビジネスの場合)

会社の売上高は、客数客単価に分解できます。

1カ月に100人のお客様が来店され、売上高が30万円あがったということであれば

客単価は3000円ということになります。

 

さらに客数は、利用客数来店頻度に分解することができます。

利用客が80人だったとすると、来店頻度は100人÷80人ということで

1人のお客様が1カ月に平均1.25回来店されていることになります。

 

一方、客単価ですが、これは商品単価買上点数に分けることができます。

一人当たりのお買い上げ点数が5品目だとすると

客単価3000円÷買上点数5品目で、商品単価は600円となります。

 

今回は、これら分解した要素のうち、商品単価を上げるにはどうすればいいか?

考えていきます。

 

 

商品単価のアップはお客様の感じる価値を高めること

商品単価を高める、すなわち値上げをしていくということですが

そもそも、価格はどうやって決めるべきでしょうか。

 

よく見るのが、原価から積み上げて計算する方法です。

材料費、人件費、諸経費など製品の原価がいくらかかったのか

そして、販売管理費を賄うためにはどれくらい粗利益が必要か

それらをすべて積み上げて販売価格を決定する方法です。

 

確かに、そうやって計算されているものは世の中にあふれています。

1円でも安く作って、1円でも安く売ることができれば

たくさん売れて粗利益も稼げるということにはなります。

 

しかし、私たち中小企業がそんなことをやっていても

そもそも規模が小さいので、スケールメリットが効きません。

また、中小企業はサービス業が多いので、数をこなすことには限界があります。

 

だから、私たち中小企業は

価格はお客様の感じる価値で決まる、原価から計算するものではない

と考えるべきだと思っています。

 

そう考えれば、値上げをするためには商品の価値を高めればいいということになります。

 

そうは言っても、「市場の相場というものがある・・・」

という意見もあると思います。

ですから、差別化。商品を差別化し、相場に引っ張られないようにするべきです。

 

そう言うと、さらに「周りと同じ商品を売っているのに差別化なんてできない」

と言われてしまいます。

 

ですから、次の項目では、商品の価値製品そのものの価値だけでは決まらない、ということを

お伝えしたいと思います。

製品が同じものでも、考え方によっては差別化できる余地はあるということです。

 

 

価値のとらえ方はこのように考える

色々な考え方のひとつとして参考にしてもらいたいのですが

商品の価値も分解して考えることができると思います。

 

商品の価値=理念×製品の価値×サービスの価値×情報の価値

 

このように考えてみてはいかがでしょうか?

商品の単価を高めるために、これらの要素ひとつひとつを高める努力をするということです。

 

 

理念を伝える

ご自身の会社には経営理念はありますか?

周りの人からぜひ応援したい!と思わせるような経営理念です。

そんなものないよと言われるかもしれません。

 

せっかく新しい年を迎えたいいタイミングなので、改めて自社・自社の取扱商品と

向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

  • どんな思いでこの会社を作ったのか
  • どんな思いでこの商品を導入したのか
  • どんな苦労があったのか
  • どういった思いでこの仕事をしているのか
  • お客様にはどうなってもらいたいのか
  • 取り扱っている商品の優位性はどこにあるのか

 

商品・サービスを提供するにあたって、色々な熱い思いが浮かんでくることと思います。

そういった思いをまずは言葉に、文章にしてみてください。

 

そして、それをお客様に伝えることです。

手を変え品を変え伝えてみましょう。

口頭で伝えたり、チラシで伝える、パンフレットで伝える、壁に貼って伝えることもできるかもしれません。

自社の新聞を作成されている会社もあります。SNSで伝えるのも今風ですよね。

 

会社全員で思いを伝えることをやってみることです。

 

 

私たちのことを例えで簡単にいうと

本来、税理士事務所というのは申告期限に間に合うように申告書を作成すればいいのですが

私たちは「中小企業の明るい未来を創造する」という思いがあります。

先が見えず、数字の読み方も分からないと経営者の皆さんは大変不安に思っています。

自分自身も税理士になりたての頃は、大変不安な夜を過ごしたこともあります。

お客様にはそんな思いをなるべくしてほしくない。

だから、税金計算だけではなく

こうやったら会社って良くなるんじゃないですか?というちょっとしたアドバイスをしたり

数字に基づいた経営ができるように、数字についての詳しい説明をしたりして

安心して、希望をもって経営にあたってもらいたいという思いで仕事をしています。

 

そのために、月次決算書や経営計画書、決算前検討会や社長の成績表という

申告するだけであれば全く必要のないサービスを提供するようになりました。

 

これらサービスのいいところは、税理士でなくても活躍できるという点です。

税理士事務所において税理士の資格がない方は、活躍の場が制限されます。

せっかく縁あって一緒に働ける仲間ですから、その方にも仕事を通じて輝いてほしい

と考えています。

 

 

皆さんも、事業に対する思いを言葉にして、お客様に伝えてもらいたいと考えています。

 

 

サービスの価値を差別化する

サービスの価値とは何でしょうか?

様々な考え方があるかもしれませんが、私たちはそれを

  • お客様に心地よさを感じてもらうこと
  • ニーズを先読みして、お客様が「してほしい!」と思う直前に行動すること

だと考えています。

 

これも私たちがやっていることを挙げてみると

  • 月次決算書や経営計画書、決算前検討会などで安心して経営をしていただく。
  • 来客があれば、笑顔で挨拶をする。
  • 事務所に上がっていただいた際は、ドリンクメニューから選んでいただく。
  • 毎月、税務や財務に関するニュースをお知らせする。

 

商品自体では差別化できなくても、自社ならではの取り組みができるはずです。

ウチらしさは何か?どんなことができるのか?すべての社員さんを巻き込んで考えてみませんか?