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第36回 今後の資金状況と必要売上高を簡易的に計算してみましょう
2022.05.17 | 資金繰り
今回は、半期を終えた会社が今後の資金状況を簡易的に計算する方法をお伝えします。
・売上が上半期と同じだった場合、手元資金はいくらまで減る可能性があるかを計算する。
・下半期は上半期よりも売上が上がると言っている。今の手元資金を維持するために必要な売上高を計算する。
まずは損益予測を行って、営業キャッシュフローを簡易的に計算します。
営業キャッシュフローとは、自社の営業活動によって得られたキャッシュフローのことです。
*簡易的に計算するということで、
・運転資金の増減
・消費税や法人税の支払い
・設備投資
・損金にならない保険料
などは考慮しないものとします。
(実際には考慮しないといけないのですが、説明を簡易にするということで省いています。)
損益予測に必要となるデータは、
①売上予測
②粗利益率
③固定費
の3つだけです。
②粗利益率については、毎月在庫を計上しているのであれば直近の数字を使えると思いますし、前期や前々期の数値を参考にしてもいいでしょう。過去12カ月の粗利益率を使ってもいいかもしれません。
③固定費については、直近3カ月程度の実績値の平均額でいいのではないかと思います。
①売上高予測に
②粗利益率を乗じて粗利益額を計算し
③固定費を引くことによって月々の経常利益予測が計算できます。
また、固定費には減価償却費が含まれています。
減価償却費は、実際にお金が出ていく費用ではありませんから、その経常利益予測額に加算したものが営業活動により調達したキャッシュフローとなります。
さらに財務活動によるキャッシュフローとして、借入金の返済があります。
借入金の返済は損益計算には考慮されていませんので、実際の返済額を先ほど計算した営業キャッシュフローから差し引いたものが簡易的ではありますが、予測キャッシュフローとなります。
予測キャッシュフローを現在の現預金残高に加算(マイナスの場合は減算)すると手許資金はどのようになるのかが簡易的に予測できるということです。
その予測手元資金の金額を計算してみてはいかがでしょうか?
「これだけあれば大丈夫」と思われたり、「このままじゃヤバイ」と思われたりするのではないでしょうか。
また、単に予測をするだけではなく、必要となる資金を維持するためにはどれだけ売上高が必要となるのかを逆算で計算してみることも大事だと思います。
予測キャッシュフロー=予測経常利益+減価償却費-借入金の返済額
という算式でしたから、例えば現状維持(キャッシュフローの増減なし)ということであれば、予測キャッシュフローを0円にして経常利益を逆算すればいいわけです。
減価償却費や借入金は決まっているので簡単に逆算することができます。
経常利益が計算できれば、必要売上高も逆算できるはずです。
キャッシュを維持するためにどれだけ売上高が必要なのか、あるいは予測できる売上高だといくらキャッシュが不足するのか、いろいろシミュレーションをして、資金が必要であればなるべく早く金融機関に相談されてはいかがでしょうか。
そんなに難しいものではありませんから、ぜひやってみてください。