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経営コラム

第49回 中小企業の決算賞与をどう考えて、どう支給するか

2022.11.28 | 給与・賞与

■中小企業が決算賞与を支給する■

2022年も年末を迎えています。

12月を決算期としている会社様も多いと思いますので、このタイミングで中小企業の社長様に対して提案をしたいと思います。

それは「会社に利益が出ている場合には決算賞与を検討されてはいかがでしょうか」ということです。

もちろん会社に利益が出ているのは、社長の立てた戦略がよかったということには違いありません。

しかし、それを実際に遂行した社員さんがいてくれたから実現できたというのも事実です。

また、以前から申し上げているように社員さんの給与水準を高めていくのは会社の義務だと思いますので、ぜひ決算賞与というものを考えてみてください。

会社にとっても、所得拡大促進税制という制度を使っての節税というメリットがあります。

 

■支給する際の基準をどうするか?■

では、どういう条件で支給するのか、ということと決算賞与の総額はどうするか、についてお伝えします。

利益が出ているからといって思ったままの金額を支給するよりも、きちんと基準を作ってそれに従って計算するほうがいいと思います。

そう思いますよね?

基準が明確になっていないと、社員さんは頑張りようがないですし、会社も適当な金額を支給することになってしまいます。

ではどうするか?

そのためにはやはり、利益計画を立てましょうということになります。

利益計画を立てて、目標利益を上回ったら「その上回った金額のうちいくらを支給する」と決めておくのです。

仮に、1000万円の利益目標があり、実際には1300万円の利益になりそうだとします。

事前に「超過利益の3分の1を決算賞与とする」と決めていれば、超過利益の300万円の3分の1、つまり100万円を支給するわけです。

 

■社員さんに会社の数字を公開する■

この決め方をする場合には、もう一つ条件があります。

それは会社の損益を社員さんと常に共有するということです。

当然、数字の見方や考え方もお伝えする必要があります。

損益を知らない社員さんが決算賞与をもらった場合、「よく分からないけど決算賞与が出た」と思われてしまいます。

売上がどれだけあれば、どれだけ利益が出て、決算賞与をもらうためにはどれだけ頑張る必要がある、ということを全員で共有することが大切だと思います。

最初は抵抗があるかもしれませんが、全社一丸となるためにもぜひやってみてはいかがでしょうか。

税理士法人エイコーであれば、数字の勉強会を利益計画の策定や月次決算書の報告と併せてお手伝いすることができます。

 

■決算賞与を未払計上するには?■

せっかく支給することが決まった決算賞与ですが、何らかの事情で決算月に支給できないことがあるかもしれません。

そんな時にも一定の条件を満たせば、今期の経費にすることができます。

ただし、決算賞与に対する社会保険料は実際に支給した月の経費になりますので注意しましょう。

 

その条件とは、簡単にいうと

1.賞与の支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての社員さんに通知をしていること

2.翌事業年度の開始の日から1カ月以内に支払っていること

3.損金経理をすること

となっています。これをすべて満たすことができていれば、支給額の通知をした日の属する事業年度の経費にできます。

また、就業規則がどのようになっているかも事前にチェックが必要です。

が、今回のテーマではないので割愛します。すみません。

 

詳しくは国税庁HPをご確認ください。

国税庁HP No.5350 使用人賞与の損金算入時期

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5350.htm

 

 

決算賞与を支給することで社員さんに多くの給与を支払えるようになりますし、社員さんのモチベーションを高めることにもなります。

そして、社長だけでなく社員さんも数字に強くなり、数字に興味を持ってもらうことによってより数字を意識した経営につながります。

ぜひ前向きに考えてみてください。