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経営コラム

第73回 社員さんたちと行動計画を立てて具体的な取り組みを決定し、定期的にチェックをしましょう

2023.07.15 | 経営計画

売上管理表を見てみると、特定の取引先が売上高の大部分を占めている、そんなことはないでしょうか。

実は、中小企業にとってよくあることだと思います。

 

今回はこういった状況を踏まえて、新規開拓の話ではなく、

既存のお客様から注文を受けて売上を増やす場合の行動計画

について説明をさせていただきます。

 

社員さんと行動計画を作ろう

中小企業の社長であるあなたは社員さんを集めて勉強会を開催しました。

未来会計図表の使い方を社員さんと共有し、自社の状況を知ってもらいました。

そして、これからどういう方向性で会社を良くしていきたいと考えているのか

をお伝えしました。

 

そして、その目標を達成するには販売数量を増やしていく必要があることを説明したところ、

社員の皆さんは納得して、販売数量を増やしていくことを約束してくれました。

 

さあ、頑張ろう。これでうまくいく!

・・・とはならないのはご存じのとおりだと思います。

 

 

なぜか?

それは、その次に決めるべき大切なものが決まっていないからです。

 

 

行動計画を立てて具体的な取り組みを決定する

その「次に決めるべき大切なもの」は何かというと、「具体的な取り組み」。

つまり行動計画です。

 

いくら方向性が定まったとしても、具体的な取り組みが示されていないと、

人というものはなかなか動けないものです。

 

また、具体的な取り組みを決めていないと、できたかどうかをチェックする

ことができません

 

社員さんに「目標売上を達成できなかったので、来月はがんばります」と

言われても、何も言い返せなくなってしまいます。

売上高を達成できない理由なんていくらでもありますよね。

 

売上高という結果にフォーカスする前に、

行動計画に決められた具体的な取り組みができたかどうかをチェックできる

レベルで決めていくことが大切です。

 

 

では、既存客に対する営業活動をどう計画していくのか?ということですが

会計事務所の視点でお伝えします。

 

 

まず、売上高の要素について着目してみます。

 

売上高は、「客単価×受注数」に分解できます。

例えば、売上高30,000は客単価300受注数100に分解できる

といった具合です。

 

そして、客単価を高める戦略をとるのか?

受注数を高める戦略をとるのか?ということになります。

 

今回は受注数を高めることに決定しています。

ですから、今度は受注数の要素に着目します。

 

受注数はさらに「商談数×受注率に分解できます。

例えば、受注数100を分解すると商談数500受注率20%になる

といった具合です。

 

その中で、商談数は数字でのPDCAが可能です。

 

受注率は突然高めることがなかなか難しいです。

しかし、商談数はある程度コントロールができるものです。

ですから、この商談数について計画を立てていくこととします。

 

 

経営資源に乏しい中小企業は重点主義に徹すべし

経営には、ヒト・モノ・カネといった資源が必要です。

しかし、私たち中小企業にはそれらが圧倒的に不足しています。

 

例えばですが、わずか数人の中小企業の社員さんたちが手分けをしたとして

何百社ものお客様を定期的に訪問できるでしょうか?

 

ちょっと難しいことは簡単に想像できることと思います。

 

となれば、その圧倒的に足りていない経営資源は

有効に使っていかなくてはなりません。

 

営業であれば、どのお客様を重点的に訪問するかを決めるべき

だということです。

 

全てのお客様を同じように大事にしたい気持ちはよく分かります。

しかし、わが社が生き残っていくためには、

特定のお客様をえこひいきしなくてはならないと考えます。

 

 

その根拠ですが、パレートの法則をご存知でしょうか?

 

パレートの法則とは

「経済において、全体の数値の大部分は全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているとする法則・経験則」

というものです。

 

2対8の法則とも呼ばれたりします。

会社の売上高の80%は、全体の20%の商品によって生み出されている、とか、

会社の売上高の80%は、全体の20%のお客様からのものであるといった感じでしょうか。

 

「顧客の20%が売上の80%をもたらす」ので

その20%のお客様に対して注力することが、

少ない経営資源を有効に使うことにつながるということです。

 

 

年計グラフを利用してABC分析をする

ではまず、どのお客様を重点的に訪問するかの基準が必要ですよね。

基準とは数字のことです。

 

その数字は年計グラフを使って調査します。

お客様別の年計グラフを数年分作ってみます。

できれば粗利益額の年計グラフのほうがいいのですが、なければ売上高で代用します。

 

どのお客様が金額が大きいのか金額は増えているのか減っているのか、などが見えてくるはずです。

その他にも特殊な事情があるかもしれません。

どのお客様を重点的に訪問するか、年計グラフを確認しながらABCでランク分けをします。

 

 

行動計画は5W2Hで立てる

そして、行動計画を立てる際には必ず5W2Hを明確にしておきます。

訪問の5W2Hであれば

 

いつ(when)・・・頻度・月〇回など

どこで(where)・・・どのお客様に・どの部署に

誰が(who)・・・担当者・責任者・社長

何を(what)・・・だれと会うのか(現場・課長・部長・役員など)

なぜ(why)・・・訪問の目的(受注状況・ライバルの動向・お困りごとやニーズ・試作品提供・受注決定などの確認)

どのように(How)・・・個別面談、上司同伴、提案書を使う、試作品を持参する、など

いくら(How much)・・・未来費用を何にいくらかけるのか(販売促進費・研究開発費・接待交際費など)

といったことを事前に決定しておきます。

 

どうでしょうか?

ここまで決めてしまえば、「来年は10%増えるように頑張ろう」

というスローガン的なものだけの場合に比べて格段に行動しやすいのではないでしょうか。

行動計画が詳細であればあるほど行動に移しやすく、チェックもしやすいです。

 

人というものは、訪問すべきところではなく、

訪問しやすいお客様のところに行ってしまいます。

 

定期的に訪問するのであれば、どのお客様にいつ行ったか、

何度訪問したかが分かるようにしておかなくてはなりません。

 

計画は、実行の後にチェックをしなくてはならないので

必ず数字で把握できるようにしておきます。

 

ぜひ参考にしてみてください。行動計画はチェックが命です。

 

まとめ

・ABC分析をして、どのお客様を重点的に訪問するかを決定する。

・ABC分析は売上高よりも粗利益でやった方がいい。

・行動計画は5W2Hによって詳細に決定する。

・より詳細な方が行動に移しやすい

・チェックができるように数字で管理する