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経営コラム

第65回 数字の苦手な社長に「なぜ利益を出すことが必要なのか?」を分かりやすく説明します

2023.04.25 | 財務改善

 

税金を払うのが好きな人はいるのか?

基本的には、払わなくていいのであれば払いたくないし、払わなくてはいけない税金も払いたくないものです。

しかし、会社が稼いだ利益に対しては法人税が課税されます。

 

それではということで、利益を減らせばいいんじゃないかと思う社長様が多いようです。

いかに経費を作るか?ということに苦心されているかもしれません。

 

私も以前はどうすれば個人的な経費を会社の経費にすることができるか、なんてことを考えて提案していた時期がありました。

しかし、それは中小企業の経営をサポートする税理士としては大変恥ずかしいことなんじゃないかと今では思っています。

 

今回は、なぜ会社に利益が必要なのか、を簡単に説明したいと思います。

社員さんを大切にする経営をしていきたいと思われる中小企業の社長様には納得していただける内容ではないかと思います。

なぜ私がそのように考えを改めるに至ったのかを理解していただけると嬉しいです。

 

考え方をお伝えするのでいつも以上に正確性には欠けるかもしれません。

(正確な言葉の定義などは、ご自身で調べていただければと思います。すみません。)

 

 

 

経常利益とは

経常利益(けいじょうりえき)、という言葉を聞いたことがありますか?。

会社の利益には色々な種類がありますが、経常利益についてごく簡単に説明をします。

経常利益とは、売上高から売上原価・販管費を引いたもの(営業利益)に営業外収益を足して、営業外費用を引いた残りです。

図で表すと、下のようになります。

(マイナスになった場合は、経常利益といわずに経常損失といいます。)

 

会社が本業で稼いだ利益だけでなく、それ以外の付随的な損益(営業外収益・営業が費用)も含んでいます。

ですから、経常利益は会社の通常の事業活動による損益ということができます。

 

 

 

経常利益のうち、蓄積できるのは?

先ほどお伝えしたように、会社が稼いだ利益には法人税が課税されます。

会社の資本金や営業エリアなどによって税率は変わってきます。

私たちのお客様(法人)は資本金1億円未満で、倉敷市のみで事業活動をされている方が多いです。

その場合の税率はざっくり25%~35%ぐらいとなっています。

 

 

ということは、利益の約3分の1は法人税としてお金が支払われるということになります。

では、残り3分の2を蓄積できるのか?と言えばそうではありません

 

たいていの中小企業には金融機関からの借入金があります。

返済期間を5年とか7年、10年などで設定されているでしょうか。

この借入金の返済をしなくてはならないのです。

 

つまり、会社が稼いだ利益のうち税金の支払いと借入金の返済をして残った分しか会社の蓄積して残らないということとなります。

その蓄積はごくわずかであることが多いです。

 

 

 

会社の蓄積があれば・・・

そのようにして残った会社の蓄積は、利益の分配として決算賞与や株主の配当として支出することができます。

また、借入によって集めたお金は金融機関に返していかなくてはならないお金ですが、利益の蓄積によって集めたお金は誰にも返済する必要のないお金です。

そういったお金を積み重ねることで、返していかなくてはならないお金を減らすことができるのです。

 

ここで、「余計な経費」について説明をさせていただきます。

 

余計な経費を使えば利益が減少し、税金も少なくなります。

節税が好きな人はここしか見えていません。

 

しかし、それは税引後の利益も減少させ金融機関への返済会社の蓄積を少なくさせることになります。

返済ができていればいいですが、利益以上の返済がある場合は借入金が一時的には減ったように見えてもすぐに新しくお金を借りなければならなくなります。

それでも余計な経費は必要でしょうか?

 

 

 

稼いだ利益をお金として残すことが人を大切にする経営につながる

儲けた利益から税金を払って、そこから借りたお金を返していき、返さなくてもいいお金を蓄積していきます。

無駄な買い物をしないで、お金を残すことが重要です。

 

利益は売上高から経費を引いた残りであると冒頭に申し上げました。

でも本当はそれでは会社にお金は残らないと思うんです。

 

単に「残り・余り」というのであれば、あってもなくても構わないし、あれば税金を取られます。

では、経費を使って、利益という「残り・余り」を失くせばいいと思うのは仕方がないことかもしれません。

 

利益とは社員を守るためのコストであり、会社継続のための事業存続費である

 

という言葉があります。

利益を蓄積し続けることがつぶれない会社を作ることにつながります。

つぶれない会社になるには、お金をためて借入金を減らすことです。

つまり、利益は「残り・余り」などではなく、会社を続けていくために、社員とその家族を守るために必要な経費だと考えてはいかがでしょうか。

 

会社を存続させ、社員とその家族を守るためにはお金の蓄積が必要です。

社員を大切にしたいという社長様は大変多くいらっしゃいます。

給与を増やす、福利厚生を充実させる、人として大切に扱う、といったことも重要だと思います。

 

しかし、それ以外にも「つぶれない会社を作る」ということも非常に重要ではないかと思います。

会社がつぶれてしまっては、経営者がどんな立派なことを言ったとしても社員さんとその家族に大変な思いをさせてしまうからです。

 

少しでも多くの中小企業の経営者様が、税引後の利益を時間をかけて蓄積していってもらいたいと考えています。